これも学校の教授に教えてもらった。
簡単に説明するとフィルムメーカーは最初に脚本を読む時、頭の中で脚本の『理想』を撮影する。その後打ち合わせ等を経てテックスカウトの時点で実際のロケーションを踏まえて脚本の『可能性』を撮影する。そして全ての準備が終わった後本番で『現実』を撮影する。
恐らく全てのフィルムメーカーが意識せずにこの三回撮影をやっていると思う。
が、時にこのやり方が全く通用しないプロダクションに出会うときもある。作品によっては脚本の改稿が頻繁に行われるものもあり、僕が経験した中で主役が途中で変わるというワイルドなものもあった。こうなってくると準備段階でまとめてきた作品コンセプトやスタイルをも大きく変更する事が必要になり、望んでいなくても撮影が崩壊してしまう事もある。
半年、一年かけて撮影するドラマではこの改稿の割合も必然的に多くなるのは仕方がない事だが、三回かけて撮影したものを再度撮影するのは心折れる。