発声

デジタルという言葉ももう使い古されたものとなった2020年代の今、カメラが凄まじい勢いで進歩しているのと同様録音技術も進化している。

余計なノイズも取り除け本当に小さいレベルの音も遠方から録音できるようになってきている。

 

だが、その進歩が本来役者に要求されるはずの発声練習を厳かにしているのも事実であると思う。

臨場感を出すため、リアリティを追求したいから、等の理由で役者から僅か1メートルしか離れていないカメラオペレーターですら聞き取れないレベルの発声をする役者が凄く増えてきていると思う。

良いか悪いかで言うと私的意見では悪いと言わざるを得ない。特に邦画では全ての作品が全編ADRを出来るわけではなく、多くの場合現場でミキシング、そして録音した台詞を使わざるを得なく上で述べた小さな小さな声は効果音、又は音楽に溶け込んでしまい何を言っているのかわからないのである。

更にテレビ番組として放映される場合は間に入るコマーシャルとの音量に合わせるので更に聞き取れないものになってしまっている。

 

2000年以前にキャリアを始めた役者はちゃんと練習を積んでいるのでしょう、あまり支障はないが昨今にキャリアを始めた役者はそこの技術がやはり低い。そして低いことに問題を感じていない。自分が伝えようとしているメッセージが観客に伝わっていない、そしてそれが自分の責任であるともう少し考える必要があると僕は思う。

 

アニメーションや洋画の吹き替えで活躍している声優(私的には僕は彼らこそ役者と言いたい)の台詞が海を越え多くの観客の心を揺り動かしている事実を皆もっと理解しなければならない。